クラフトジンのようなトニックウォーターで贅沢なボリュームを生む。吉本 武史さん(BAR Sherlock/東京・銀座)

『フィーバーツリー』で広がるノンアルカクテル“モクテル”の可能性

2005年にイギリスで誕生したプレミアムミキサー「フィーバーツリー」。厳選した植物由来の成分を使った上質なトニックウォーターは、カクテル素材としてだけでなく、そのままソフトドリンクとしても愉しめる。
近年、需要が高まってきたノンアルコールカクテル“モクテル”において、「フィーバーツリー」はどんな可能性を見せるのか? 
「プレミアム」「メディタレーニアン」「エルダーフラワー」という3種のトニックウォーターを使い、2人のトップバーテンダーがそれぞれの味わいが映えるモクテルを提案する。 
1人目は、東京・銀座「BAR Sherlock」の吉本武史さんである。


プレミアムトニックウォーター × 「フローレンス」

キナ由来の苦味冴える「プレミアム」と乳酸の酸味を合わせて奥行きのある味わいに
 

カクテルづくりでは「何よりも味わいのボリューム感を大事にしています」と語る吉本さん。味のボリュームを生む濃厚さは、贅沢感にもつながると考えている。 
ノンアルコールのモクテルは、当然ながらアルコールによって生まれるボリューム感や飲みごたえが出しづらい。その分、トニックウォーターに求める役割も大きくなる。
今回、「フィーバーツリー」を使ってみて、吉本さんはこんな感想を持った。

「上質な素材を活かして繊細な味わいを創り出していて、そのまま飲んでも十分おいしいドリンクだと思います。3種類それぞれのフレーバーの特徴がはっきりしていて、キナ由来の苦味と甘味のバランスがよく、まるでクラフトジンのような感覚で愉しめるトニックウォーターですね」

「フィーバーツリー」の原点ともいえる「プレミアムトニックウォーター」を使うモクテルで、吉本さんは、持ち味ともいえるボリューム感を生み、できるだけ濃厚に、かつ人工的な味わいにならないようなレシピを考案した。

「プレミアムトニックウォーターの特徴であるキナ由来の苦味とヨーグルトの酸味の相性を活かして奥行きを生んだ爽やかなカクテルです。柑橘系の酸味ではなく、固形のヨーグルトを使うことで濃厚な飲み心地に仕上げました」

メディタレーニアントニックウォーター × 「ぺルラ ロッサ(赤真珠)」

ハーバルな「メディタレーニアン」とトマト、バジルは圧倒的な好相性
 
コンゴ民主共和国のキナ由来の苦味の他、地中海地方のシトラスとハーブのエッセンシャルオイルを使用した「メディタレーニアントニックウォーター」に合わせるのは、地中海をキーに親和性が高い素材、トマトのジュースである。バーでは、生産者から直接取り寄せる濃厚で旨味たっぷりのトマトジュースを使用しており、それを球体に凍らせてカクテルに使う。そのユニークなビジュアルにもワクワクとした期待が高まる。

「モクテルは、お客様が酔われない分、見た目の美しさや遊び、味わいの変化もあるとよいと思います。はじめはトマトジュースが凍っているので、メディタレーニアントニックウォーターの味わいを愉しんでいただきます。次第に溶けてきたらマドラーでトマトアイスを潰しながら召し上がっていただくと、トマトのフレッシュなフルーティーさが広がります」

エルダーフラワートニックウォーター × 「サマーガーデン」

「飲みやすい」だけで終わらせず、「エルダーフラワー」×パッションフルーツで香りのフックを生む
 
3種類目の「エルダーフラワートニックウォーター」は、コンゴ民主共和国のキナ由来の苦味の他、手摘みした英国産のエルダーフラワーから抽出したエッセンシャルオイルをブレンドしたもの。フルーティーで爽やかな味わいが特徴である。
多彩なフレッシュフルーツカクテルを得意とするなかでも、今回合わせるのは、香り高いパッションフルーツの果肉。ストローを添えないのもポイントだ。

「モクテルの場合は味の濃いフルーツを合わせ、飲み終わる間までいかに風味を持たせるかと考えました。そこでパッションフルーツの登場です。ミントとグレープフルーツ、柔らかい香りのエルダーフラワートニックの相性が非常によく、鼻を近づけてその香りを感じていただきたくてストローを外しました。クラッシュアイスは一気に液体を冷やせてスピーディに提供できます」

3種類のトニックウォーターによるモクテルを創ってみて、吉本さんはこう語る。 

「トニックウォーターだけで飲んでもおいしく、モクテルの材料を複雑にしすぎなくてよいように感じました。炭酸が優しく、苦味と甘味のバランスがいい。3種類ぞれぞれの特徴がわかりやすいので、想像していた以上に可能性を感じました。お客様に特徴をお伝えしやすいのも魅力です」

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