全種類飲みたくなる!ネーミングもユニークなトニック違いのジントニック。鈴木 敦さん(The Bellwood /東京・渋谷)

3種のトニックウォーターでさらに広がるジントニックの世界

2005年に誕生し、今では世界80か国以上で販売されているイギリス生まれのプレミアムミキサー『フィーバーツリー』。世界中から厳選した植物由来の成分を使った上質なトニックウォーターは、カクテル素材としてだけでなく、そのままソフトドリンクとしても愉しめる。ジントニックを構成する液体の約3/4をミキサーが占めるなら、そこにも「最上のこだわり」を持ちたいもの。
今回は「プレミアム」「メディタレーニアン」「エルダーフラワー」という3種のトニックウォーターを使い、3人のトップバーテンダーがそれぞれの味わいが映えるジントニックを提案する。
3人目は、東京・渋谷「The Bellwood」の鈴木 敦さんである。


プレミアム トニックウォーター × 「ジントニック」

 “おいしいジントニック”の答えとなる一杯は、「プレミアム」ありき
 

「ジントニックはごくシンプルでいて、100人バーテンダーがいたら100通りのレシピがあるカクテルだと思います。このジントニックは、僕がおいしいと思うジントニックのひとつの答え。昔、上海の「Speak Low」と「Sober company」で働いていたころから「フィーバーツリー」を使っており、2020年現在の場所で開店以来、トニックウォーターはずっとフィーバーツリーです」

東京・渋谷「The Bellwood」の鈴木 敦さんがそう語る定番のジントニックは、飲みごたえと飲みやすさを両立させた分量の液体をグラスに満たし、グレープフルーツピールを振りかける。レモンともライムの香りとも違う、ふくよかで爽やかな香りがジントニックの味わいをさらに豊かにする。
ジントニックに限らず、バーでは「プレミアム トニックウォーター」をよく活用するという鈴木さん。

「スプモーニやライトでリフレッシュできるカクテルをつくる際にも使います。ノンアルのドリンクにもいいですね。飲み口が軽いのに、苦味や複雑味が出せて、炭酸水単体では完結できない飲みごたえを生んでくれます」 

数あるトニックウォーターの中から、鈴木さんが「プレミアム トニックウォーター」を選ぶ理由を訊いてみた。

「単体で飲んでみるとよくわかりますが、キナやビターオレンジの心地よい甘苦さのバランスがすごくいいんです。炭酸も強過ぎず軽過ぎず。甘さも甘過ぎずドライ過ぎず。このトニックありきでカクテルのバランスを考えるくらいです」

メディタレーニアントニックウォーター × 「意識高めなジントニック」

 “意識高い系”の材料と「メディタレーニアン」で、和の風味を立たせる
 

コンゴ共和国のキナの他、地中海地方のシトラスとハーブのエッセンシャルオイルを使用したトニックウォーター「メディタレーニアン トニックウォーター」を使ってつくるのは、その名も“意識高めなジントニック”。
セロリを搾ったフレッシュジュース、水出しの玉露、りんごのジュースなど多種の素材をベースとなるジンに合わせ、仕上げに青ゆずピールを振りかける。

「とにかく意識の高い材料を使います(笑)。ジントニックは世界中でいろんなアレンジがされているカクテルです。海外で生活し、バーテンディングをしていた自分の経験から、和の風味を感じられる材料を使いたいと思うようになりました。日本の素材を使った、海外の方にも日本の方にも愉しんでいただけるジントニックだと思います」

「メディタレーニアン」を用いることで、通常提供しているレシピにハーブの蒸留水を加えて味わいを調整。より青っぽいフレーバーを出すようにアレンジした。

「メディタレーニアンは、ラベルの色合いの通りの爽快感のある風味が特徴です。ハーブの青っぽい香りに相乗するようベーススピリッツを調整しました」

エルダーフラワー トニックウォーター × 「意識高すぎたジントニック」

一周回ってひねりを利かせた「エルダーフラワー」の”美味複雑”なジントニック

「意識を高めて、高めて、最終的に到着したのがこのジントニックです」

かくなる一杯の名前は“意識高すぎたジントニック”。ベースとなるジンには青じそをつけこみ、そこに“しすぎたミックス”なる独自のドリンクを合わせる。イチゴや、タバスコを蒸留したタバスコウォーター、酸味のバランスを取るためのオレンジジュースなどが入る。それらを、コンゴ民主共和国のキナの他、手摘みした英国産のエルダーフラワーから抽出したエッセンシャルオイルをブレンドした「エルダーフラワー トニックウォーター」でアップする。

一見、味の想像がつきづらいが、ひと口含んで驚く。チャーミングなイチゴのフレーバーに余韻に青じその青いニュアンス。タバスコのチリやグリーンのニュアンスがアクセントとなり、フルーティーで爽やかな「エルダーフラワー」が全体をまとめあげる。赤い水色(すいしょく)も美しい。

「エルダーフラワーは素材として大好きで、よくリキュールなどでいろんなものに使っていました。トニックウォーターとして使ってみる、という新しい機会に合わせて、白い花とは真逆のオレンジや黄色といった暖色系の色味の素材を組み合わせるという新しい考え方でおもしろさを加えてみました。トニックとしてすごく使いやすいですね。イチゴに青じそを合わせたのは、青いヘタの部分までイチゴを丸ごと使うイメージからです。意識高すぎでしょ(笑)」

これら、3種類のトニックウォーターを使い分けて、鈴木さんはこう語る。

「プレミアム、メディタレーニアン、エルダーフラワーと3種類それぞれ全然違うフレーバーで、これ自体がひとつの完成されたカクテルのような複雑味があります。そこに何をどう合わせてバランスを取るかに、バーテンダーそれぞれのおもしろみが出るのではないでしょうか」

関連記事